ジャズにおける打楽器といえば…当然、ドラムセットだ。 だが今回はあえてパーカッションでの参加をオススメしてみたいと思う。

日本では、自宅でドラムセットが組めて、練習できるという人は稀だろう。 またライブをするとなると、会場に楽器があればともかく、持ち込むには車が必須だし、 重労働だし、スペースはとるし、会場によっては隣近所からうるさいと言われたり… 色々と悩みの多い楽器なのである。

そこで「パーカッションのススメ」。 いっそドラムセットではなく、他の打楽器(できれば小さくて、手軽なもの)で演奏してしまおうというものだ。 もちろん音楽には様式美というものがあって、ジャズならば、グランドピアノにウッドベースにオールドスタイルのドラムセット、というのも承知の上だ。 だけど住宅事情や移動手段など色々あるんだから仕方がない…ということに。

もちろん利点は色々ある。 移動が楽だし、電車などでも動ける。 狭い場所でも演奏できるし。楽器の選択によって音量もコントロールしやすい。 またベースがいないなどの変則的な編成では、むしろドラムセットよりも合わせやすいと思う。 などなど。 特に私が重要だと思うのは、自分だけのオリジナルセットが組めることだ。 ドラムセットではハイハットとスネアとバスドラムと…という完成された形があるが、 パーカッションセットの場合は、これが自由自在なのだ。 ラテン系が好きな人はボンゴ中心に、とか、ヨーロッパ系が好きな人はスネアやタンバリンで、とか、試行錯誤しながら増やしたり、減らしたり。 これはプラモデルが好きだったり、改造が好きだったりする男の子の心境と似てると思うのだが、どうだろうか。 心当たりがある方は、ぜひ一度試していただきたい。 以下オススメの楽器など。

「カホン」 ペルー発祥の箱型の打楽器。フラメンコにもよく使われる。 最近ではアコースティックライブやストリートライブでも人気。 低音と高音が両方出せるので、ドラムセット的な演奏ができる。 イス代わりにもなるというのが、結構重要だったりする。(荷物が減らせる)

「ジャンベ」 アフリカ出身の打楽器。カホンと同様、低音と高音が出せるので、これ一台でトータルなリズムが刻める便利な楽器。 見た目もいかにもパーカッションという感じでカッコイイ。(これも重要)

「ボンゴ」 キューバの打楽器。コンガの方が汎用性が高い気もするが、お手軽な楽器を選んでるので、 あえて小さくて持ち運びに便利なボンゴを。ラテン系の曲はもちろんピッタリだが、 これでスウィングを演奏すると、結構スリリングでドラムとは違う味が出たりする。

「パンデイロ」 ブラジルのタンバリン。演奏には技術を要するが、サンバやボサノバにはピッタリ。 手順を変えればファンク系の曲もできるらしい。(私はできない…)

「ウインドチャイム」 ツリーチャイムとも呼ばれる効果音系の楽器。とにかく音が綺麗で、バラードでは絶大な効果を発揮。 パーカッションは音を伸ばせる楽器が少ないので、片手で鳴らせて余韻の長いウインドチャイムは、楽器の持ち替えの時などにとても便利。

「スネアドラム」 案外盲点なのだが、スネアをセットに組み込んでおくとやはり便利だ。 ブラシでスウィング叩けるし、左手をスティックのリムショットに変えてボサノバなど、 マーチ、ボレロ、セカンドラインなんかもスネアが一台あると便利。 ドラマーの人は持っている人も多いので、そのまま転用してみては。
などなど、他にも小物楽器や効果音系などもあるし、 打楽器は世界中にあるのでバリエーションは無限といえるだろう。 ちなみ私はギタリストのneaさんと二人で演奏する時は、 カホンに座って、正面にボンゴ、右側にシンバルとウインドチャイム、足元にタンバリンというセッティング。 ファンクやボサノバはカホンで、スウィング系はシンバルとボンゴで、タンバリンはアクセント用みたいに使っている。 後は気分によって、ジャンベやパンデイロを増やしたり。(雨の日は増やさなかったり…) 「パーカッションのススメ」。ドラマーの方もその他の楽器の方も、ぜひ一度お試しあれ。

<パーカッションの勉強におすすめのCD>

「Hands Of Rhythm」Giovanni Hidalgo
世界最高峰のコンガ奏者ジョバンニ・イダルゴの作品。 ピアノにミッシェル・カミロを迎え、ピアノとパーカッションのデュオで演奏される。 ラテンとジャズ、オリジナルとスタンダードが半分ずつぐらいの割合で収録されており、 超絶技巧のコンガを中心のボンゴやカウベル、マラカスなどの音も聞くことができる。

 


「Mano A Mano」Michel Camilo
こちらもミッシェル・カミロの作品でパーカッションはジョバンニ・イダルゴ。 ミッシェル・カミロのピアノトリオの演奏はたくさんあるが、このCDはドラムではなく、 ピアノ、ベース、パーカッションのトリオ。これまでの概念を変えてくれる作品になっている。

 


「BABA YAGA」Albrecht Volz
少し毛色を変えてクラシックの作品を。 有名な「展覧会の絵」その他をピアノとパーカッションのデュオで演奏しており、 マリンバやヴィブラフォンなどの鍵盤打楽器やスネア、ゴング、ウッドブロックなどを使い、二人で演奏しているとは思えないほど、迫力のある多彩な曲になっている。 アレンジやアイデアの勉強にオススメ。

 

小林 俊介(こばやし しゅんすけ)1981年神戸生まれ。 12歳よりパーカッション、16歳よりピアノを始める。 大阪音楽大学音楽学部器楽科打楽器専攻入学。クラシック音楽を学びながら在学中よりプロ活動を行う。 大学を中途退学し、本格的にプロ活動を開始。 クラシック、ポップス、ジャズなどの演奏活動の傍ら、オールディーズライブハウスのハウスバンドに所属し、 連日の演奏に加え、多数のタレント、ミュージシャンと共演。 現在はフリーランスとして、ポップス、ジャズバンドのライブサポートや学校公演などで活動。 音楽教室でのポピュラーピアノ、ドラムの指導も行う。 ドラマー、パーカッショニストとしてジャンルにこだわらないマルチなプレイヤーとして幅広く活動中。
小林俊介さんのHP
http://plaza.rakuten.co.jp/bakoblog/

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